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老人性皮膚掻痒症

看護師.png老人性皮膚掻痒症とは
原因が分からず痒みだけが起きる皮膚の病気を"皮膚掻痒症"といい、特にお年寄りに起きるものを"老人性皮膚掻痒症"といいます。
○症状は
・原因がないのに肌が痒い 
・肌がカサカサして白っぽく見える
・痒みで夜、寝付けない  
・かきむしって皮膚が赤い

     

     
原因は
皮膚の乾燥が原因で起こります。皮膚には潤いを保つ機能が備わっていますが、年をとると、その機能が低下するため皮膚が乾燥しやすくなり、乾燥すると体の外からの刺激に敏感になり、痒みがでてきます。
老化により汗腺や皮膚腺の働きが悪くなると、皮膚の表面を覆っている「脂肪膜」が少なくなってきます。そうなると、外部からの刺激を防御する力が衰え、痒みを感じ取る部分である受容体(レセプター)が、ごく軽い刺激でも敏感に反応してしまい、痒いという感覚が生まれるようになります。

     
治療
om20220.5.28 1.png皮膚の乾燥が痒みを起こしている原因なので、基本的には皮膚の乾燥を防ぐことが治療の中心となります。
皮膚の保湿をする
皮膚の潤いを保つために、尿素入りクリームや尿素軟膏の外用薬が用いられます。尿素には、天然保湿因子に働きかけ、角質細胞の保水性を高める効果があります。
痒みを抑える
痒みがあり、つい皮膚をかいてしまうと、かいたことが刺激となりさらに痒みが強くなるという悪循環に陥ります。痒みが強い場合は、痒みを抑える薬を用います。
漢方薬
まず始めに補剤の漢方処方を服用し、免疫力・抵抗力を増強させて、体質改善をはかるのが良いと考えられています。
痒みをとめるには、抗ヒスタミンや抗アレルギー薬を使いますが、これらの薬は尿の出を悪くするので、前立腺肥大の男性が飲むと、排尿障害が悪化することがあります。そういう場合は、漢方薬の方が適しています。

     
予防
お年寄りには、お風呂好きな人が多いですが、体を洗う際にどうしても皮膚の脂肪分・脂肪膜を落としてしまうので、お風呂に入る時は、いろいろと細かいことに注意が必要です。普段の生活で特に大切なことは、皮膚の乾燥を防ぐことと、痒みを生じさせる原因を取り除くことです。
○気をつけたいことは
・入浴の回数を減らす。
・身体を洗うときは、あまりごしごし洗い過ぎると皮膚が乾燥しやすくなるので優しく洗う。
・漢方浴剤などを使って皮膚を保護するようにする。
・お風呂上がりは体が温まっているため、痒みが生じやすいので、すぐに寝ない。
・できるだけ皮膚への刺激が少ない肌着をつけるようにする。
・電気毛布なども痒みを増す原因になるので、使わないようにする。
・エアコンなどで、部屋を乾燥させないこと。
・汗は、皮膚を刺激し痒みの原因になるので、あまり汗をかかないように。
・アルコールを飲むと体が温まり痒みが増すので控えめに。
・睡眠や休養をとり、規則正しい生活を送る。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部