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ワンポイント在宅介護 低栄養について①

ワンポイント在宅介護
低栄養について①
 
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食生活が豊かになってきた現在では「肥満」や「メタボ」など、どちらかといえば過剰摂取な面が注目されやすいですが、高齢となり、食が細くなった方や、上手く食べ物を飲み込むことが難しくなってきた方の中には、体の栄養素が不足するという、いわゆる「低栄養状態」「栄養不足」などの問題を抱えている方も少なくありません。しかし、在宅生活を続ける上で、健康管理はもとより食生活の充実はとても大切な要素となります。

 今回のワンポイント在宅介護では、
           “低栄養について①”
                …を中心にご紹介したいと思います。

今どき低栄養なんて…

■肥満よりこわい!低栄養
 低栄養とは、エネルギーとたんぱく質が欠乏した状態、健康な体を維持し活動するのに必要な栄養素が足りない状態をいいます。「今どき低栄養なんて」と思われがちですが、高齢になると、上手く食べられなくなったり消化機能が落ちたりして、栄養も水分も充分に摂れなくなることが少なくないのです。
 高齢になると若いころより体の筋肉や水分が減ってくるため、低栄養になるといろいろな症状がおきやすくなります。それらが重なってさらに食べる力が失われ、寝たきり状態や死に至る危険も高くなります。高齢者にとっては、肥満やメタボよりもはるかに警戒が必要なのです。

・低栄養になると…
wannpoinntozaitaku2013-5-A.pngのサムネール画像■こんな人、こんなときにご用心 “低栄養になりやすいケース”
 ★がんや胃腸疾患などの治療・手術後の人
 ★呼吸器系の病気の人や在宅酸素療法の人
  ・病後は体力回復のために、エネルギーやタンパク質をはじ
   めさまざまな栄養素を充分に摂ることが必要です。また、
   呼吸器の弱い人では健常者より呼吸器にエネルギーを使
   う分、その補給も大事です。ところが、そういう状態の人ほ
   ど、食欲がなかったり、体力的に買い物や食事作りも大変
   で、つい「食べられるものですませる」ことになりがちです。

  ★メタボ警戒で油脂や卵を控えている人や粗食の人
   ・一般に「成人はメタボに注意!」といわれるため、油脂や
   卵、肉、ごはんの摂取を必要以上にえてしまうケースも。

  ★糖尿病や腎臓病などで食事療法をしている人
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   ・持病の食事療法を続けてきた
   人は「制限食を守ることが第
   一!」という思いが強く、食べ
   る機能が低下したり体調不良
   で食欲が落ちたりしても、「あ
   れはだめ、これはだめ」と自制
   してしまうことがあります。その
   ため、食がますます進まずに
   低栄養になることが少なくあり
   ません。

  ★下痢やかぜなどのあと
   ・下痢をしたりかぜで熱を出したりすると、水分やエネルギ
   ー、ミネラルなどが不足ぎみになります。若い人は症状が
   治まれば食べる量が自然に増えてじきに回復しますが、
   高齢になると食欲がもどらないまま、低栄養予備群にな
   ることがあります。

  ★うつや認知機能低下など
   ・うつや認知症で食欲が落ちてくると、それも低栄養の引き
   金になります。

  ★食べる機能(摂食・嚥下機能)の低下
   ・「口の中に食べ物を長くためている」「よくむせる」「せきの
    力が弱い」「痰がからみやすい」などの症状は、誤嚥や
    誤嚥性肺炎の兆候として考えられます。

  ★高齢者だけの一人暮らし、二人暮らし
   ・高齢者の栄養状態と健康に関する調査で、独居あるいは
   高齢夫婦二人暮らしの人は、家族と同居の人に比べて低
   栄養の割合が2倍高い、という報告もあります。食事が単
   調で質素になりやすい、買い物が不自由、節約のために
   食費を切り詰める、寂しさや不安で食欲がないなど、いろ
   いろな要因が考えられます。

  ★食べ物の好ききらいが多い
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   ・好ききらいの多い人は、
   加齢とともに食べられる
   食材や料理がさらに限
   られてしまうので、栄養
   状態の低下に注意が必
   要です。また、朝はパン
   だけ、昼はおそばだけ、
   という食事で満足してし
   まう人も要注意です。


  ●人の体は食べ物から摂る栄養で維持されています。で
   も、多くの人はその認識が薄く、体調に合わせてどん
   な食事を摂ったらよいかもよく知りません。「食は生命
   線」という認識をみんなで持つことが、低栄養を防ぐ第
   一歩です。

※参考文献
 低栄養予防のお助けブック/女子栄養大学出版部


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