2013年6月26日
ワンポイント在宅介護
低栄養について②
前回の“低栄養になりやすいケース”の紹介では、意外と当てはまる項目が多いことに驚かれた方も多いのではないでしょうか。在宅生活を続ける上で健康管理はもとより食生活の充実はとても大切な要素となります。
今回のワンポイント在宅介護では、前回の“低栄養について①”に引き続き
“低栄養について②”
…をご紹介したいと思います。
低栄養かな?
■低栄養でみられやすい外観や動作
低栄養になると、以下に示すような変化がみられることがあります。一部は脱水の場合にもみられますが、高齢者では低栄養と脱水が同時に進みやすいため、いずれにしても注意が必要です。また、他の病気が隠れていることもあるので、医師に相談することも必要です。
・低栄養でみられやすい症状
■オシッコや便のチェック
★尿量が少ない
★日中の尿の色が濃い、臭いが強い、濁る
・脱水の兆候のほか、感染症や腎機能低下の場合も。ただし、脱水があっても尿の色に変化の出ない高齢者もいます。
★下痢が続く、便秘が続く
・下痢は脱水や栄養不良を招きやすいので要注意。便秘は食事量、水分不足でおきることもあり、食欲不振の一因にもなります。
■高齢者の低栄養と脱水、なぜ同時進行?
1日に成人の体が必要とする水分は2〜2.5リットルです。通常成人は食事(お茶などは除く)から約1リットルの水分を摂りますが、食事量が減ると食事からの水分摂取量も減ってしまいます。
高齢になると、細胞内の水分、いわば水分貯金が若いころより減ってしまうため、摂取水分の不足の影響、また、発熱や下痢などによる水分損失の影響を受けやすいのです。夏場の脱水症予防には、水分だけでなく栄養も摂ることが大事です。
■食べる力の低下のチェック
高齢者の低栄養を招く要因の中でも大きいのは、かむ力や飲み込む力(摂取・嚥下機能)の低下です。次のような兆候は、チェック目安になります。
・食べるスピードが遅くなり、食べる量が減る
・口の中に食べ物を長くためている
・口からよくこぼす
・知らない間によだれが出る
・よくむせる
・痰がからみやすい
・せきの力が弱い
・うがいが上手くできない
・声がかすれる
■誤嚥、誤嚥性肺炎にも気をつけて
私たちは食べ物を口にすると、それを口の中でかみ砕いてひとかたまりにし、のどに送り込みます。このとき、瞬時に気管の入口が閉じて食道の入口が開き、そこに飲食物が入っていきます。この瞬時の動きを嚥下反射といいます。
嚥下機能が落ちてくると、嚥下反射の反応が悪くなり、気管の入口に飲食物が入り込んでしまう誤嚥をおこしやすくなります。
誤嚥をよく起こすようになると、それが原因となる肺炎(誤嚥性肺炎)もおきやすくなります。栄養状態が低下しているほど、肺炎による死亡率も高くなるので、気をつけましょう。
●他にも体重の変化や、かかりつけ医に受診した時などにおこなう血液検査値も、低栄養の重要な指標となります。
※参考文献
低栄養予防のお助けブック/女子栄養大学出版部
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