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ワンポイントメディカル 「善玉コレステロール 〜HDLコレステロールを上げよう〜」

〇脂質異常症ってどんな病気?

血液中の脂質には、主にコレステロールと中性脂肪があります。コレステロールは、悪玉のLDLコレステロールや善玉のHDLコレステロールがあります。脂質異常症では、LDLコレステロールや中性脂肪が増えすぎたり、HDLコレステロールが少なくなったりしています。

脂質異常症の一般的な診断基準
  LDLコレステロール・・・140mg/dL以上
  中性脂肪・・・・・・・・・・・150mg/dL以上
  HDLコレステロール・・・40mg/dL未満

om2015.6.27 2.jpg     om2015.6.27 1.jpg

〇HDLコレステロールはなぜ善玉?

コレステロールは肝臓から血管などに運ばれていきます。余分なコレステロールは「あぶらのかたまり」として、たまった状態になっています。コレステロールは肝臓以外では処理できないので「あぶらのかたまり」からコレステロールを回収して肝臓に戻してあげる必要があります。「あぶらのかたまり」から回収されて、肝臓に戻っていく途中のコレステロールがHDLコレステロールなので、善玉と呼ばれています。逆にLDLコレステロールの一部は血管の「あぶらのかたまり」に運ばれていく途中なので、悪玉と呼ばれています。

HDLコレステロールがたくさんあるということは、血管がつまる原因となる「あぶらのかたまり」が少なく、血管が健康的な状態であることを意味します。


〇肥満との関係

肥満になると善玉のHDLコレステロールが低下するなど脂質異常症になる頻度が高くなります。おなかの内蔵のまわりに脂肪が蓄積する内臓脂肪型の肥満は、中年以降の男性に多く見られます。外見からは、肥満とはわかりにくいですが、肥満のなかでも特に動脈硬化の危険が高いタイプの肥満です。


〇生活習慣の改善
①食生活の3つのポイント
om2015.6.27 3.jpg●腹八分目をこころがける(よく噛んでゆっくり食べる)
●バランスのとれた食生活(脂っこい食品は控えめに)
●3度の食事を規則正しく(間食、夜食はやめましょう)


②禁煙のススメ!
om2015.6.27 4.jpg● 喫煙は善玉のHDLコレステロールを低下させ、動脈硬化のリスクを高くします。一方、禁煙によるリスクの低下は大きいので、一日でも早く禁煙をスタートすることをお勧めします。


③運動は、「善玉」のHDLコレステロール値を上昇させます!
om2015.6.27 5.jpg●運動量:できれば毎日、1回につき30分以上、週180分以上目標に!
●運動強度:運動中に会話が楽にできる程度〜ややきついと感じる程度
●運動の種類:脂質代謝の改善には、有酸素運動(ウォーキング・水中ウォーキング・サイクリング・水泳等)が適しています。軽い筋力トレーニング(ダンベル運動・腹筋・腕立て伏せ・スクワット等)をプラスするのも効果的です。


〇自覚症状がないからって油断してはいけません。
LDLコレステロールや中性脂肪が増えると血管に余分なコレステロールがたまりやすくなります。
om2015.6.27 6.jpg自覚症状がないため放置してしまうと、血管に「あぶらのかたまり」ができて、血管が狭くもろくなり動脈硬化となってしまいます。動脈硬化は、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの怖い病気を招きます。コレステロールも中性脂肪も、ともに体にはなくてはならない脂質ですが、多すぎると怖い病気の原因となります。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部