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ワンポイントリハビリ 「ヒートショック」

 寒暖の差が激しい季節になりました。これから寒い季節に向けて注意しなくてはいけない「ヒートショック」についてお伝えしたいと思います。

寒い時期、暖房で暖まった居間と暖房のない脱衣所や浴室との温度差が10℃以上になることもまれではありません。このような温度環境下で入浴する場合、暖かい居間から寒い脱衣所や浴室への移動、そして熱い湯船への移動という小さな動きのなかでの急激な温度変化が短時間のうちに起こり、これに伴って、血圧の急激な上昇や下降が引き起こります。これを、「ヒートショック」といいます。

この血圧の急上昇が、心筋梗塞、脳卒中、さらに一度急上昇した血圧は、浴槽の暖かい湯につかることによる血管の拡張で反対に急激に低下し、この急激な血圧低下が失神を起こし、倒れたことにより骨折することもあります。ヒートショックの危険性が高いのは、高齢者・高血圧・糖尿病・脂質異常症をもっている人が挙げられています。 


《ヒートショック予防のためには》

ヒートショックへの対策として重要なのは、寒い季節に肌を露出する場所(脱衣所や浴室・トイレ)の温度差を少なくして温かくすること。

①夕食前・日没前の入浴


夕食を食べる前、日没前に入浴することも良い対策法です。日中は日没後に比べ、外気温が比較的高く、脱衣所や浴室がそれほど冷え込まないことに加え、人の生理機能が高いうちに入浴することで、温度差への適応がしやすくなる。

②食事直後・飲酒時の入浴を控える


食後1時間以内や飲酒時は、血圧が下がりやすくなるため、入浴を控えた方がよい。

③湯温設定41℃以下


お湯の温度を41℃以下にし、暖めすぎないようにすると、急激な血圧低下を防げる。

④部屋全体が暖まっていると血圧が安定化しやすい


これから寒くて体が冷えてしまいがちな時期は、1日の終わりにお風呂で体を温めて、ほっと一息つく時間を楽しみにしている人も大勢いるのではないでしょうか。しかしながら、高齢者や高血圧・糖尿病などの持病をもっている人にとって、冬の入浴は常に危険と隣り合わせであることを忘れてはいけません。

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社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 作業療法士