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ワンポイントメディカル 「ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の予防について」

感染性胃腸炎とは

症状
嘔吐、下痢が主症状で軽度(37〜38℃)の発熱、腹痛など個人差があります。乳幼児や高齢者などの体力の弱い方は、下痢、嘔吐などで脱水症状を起こす事がありますので、注意が必要です。通常1週間以内で回復しますが、症状回復後も1週間程度はウイルスの排出が続きます。

原因病原体
ウイルス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)
細菌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(カンピロバクター、病原性大腸菌、サルモネラなど)

感染経路
1.食品や水を介しての経口感染
2.嘔吐物、便を介しての接触感染(2次感染)

潜伏期
wm2016.2.23 1.jpgウイルス・・・・・・・・・・・・・・
ノロウイルス(1〜3日)
ロタウイルス(1〜3日)
細菌・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カンピロバクター(2〜11日)
病原性大腸菌(12〜72時間)
サルモネラ(12〜36時間)

予防
1.帰宅時や食事の前、トイレの後に石鹸でよく手を洗いましょう。
2.感染した人の便や嘔吐物には、直接触れないようにしましょう。
 (使い捨ての手袋やキッチンペーパーなどを使って処分しましょう。)
3.調理をする場合は、よく加熱(85℃、1分間以上)しましょう。

治療
ウイルスが原因の場合には、対処療法が中心となります。また、細菌によるものであれば、抗生物質などが有効です。


●ノロウイルスとは
wm2016.2.23 2.jpgウイルスの中でも小型の球菌ウイルスで、人の体内でしか増殖しない。感染力が強く、少量のウイルス量でも感染する。低温状態でも長く生き延びるため、冬季に感染性胃腸炎を多く発生させる。

●ロタウイルスとは
人から人への感染が主となる。冬季の乳幼児の下痢症の原因として最も多い。嘔吐は1〜2日続き、下痢は白色を呈する。

嘔吐物の処理の注意点・・・2次感染予防の為に、以下のような注意が必要です。
1.吐物等の拭き取り、汚染された衣類等の片付けの際には、ビニール手袋やマスクを用いて、直接の接触を防ぐ。
2.吐物等の拭き取りに使用したペーパータオル等や汚染された衣類等は、衛生的に破棄するか、捨てられないものは塩素系漂白剤または熱湯でつけ置き洗いする。
3.吐物のあった床等は、次亜塩素ナトリウム(塩素濃度約200ppm:市販の塩素系漂白剤の塩素濃度は5〜6%なので250倍に希釈)で浸すように拭き取る。(塩素ガスの発生に注意)
4.吐物等を処理した場合は、必ず十分な手洗いとうがいを行う。


wm2016.2.23 3.jpg

冬は特にご注意!!
ノロウイルスによる食中毒は、患者数で第1位。冬季に多い。大規模な食中毒になりやすい。
食中毒は夏だけではありません。ウイルスによる食中毒が冬に多発しています。


ノロウイルスによる食中毒予防のポイント
【調理する人の健康管理】
●普段から、感染しないように食べ物や家族の健康状態に注意する。
●症状がある時は、食品を直接取り扱う作業をしない。
【作業前などの手洗い】
●洗うタイミングは、トイレに行った後、調理施設に入る時、料理の盛りつけの前、次の調理作業に入る時
●汚れの残りやすいところを丁寧に〈指先、指の間、爪の間、親指の周り、手首〉
【調理器具の消毒】
●塩素消毒洗剤などで十分に洗浄し、塩素濃度約200ppmの次亜塩素ナトリウムで浸しながら拭く
 ※消毒エタノールや逆生石鹸(エンカベンザルコニウム)はあまり効果がありません。
 ※洗剤などで十分に洗浄し、熱湯で加熱する方法も有効です。
 ※感染症法では五類感染症(定点把握対象)として定められています。

簡単なハイター等の薄め方
(市販の漂白剤:塩素濃度は5%の場合)
◆0.02%(200ppm)…環境消毒に使用(家庭や施設に置いて発生時にトイレのドアノブや手すりなど、多くのの人が触れる場所の消毒に使用)
 希釈方法:2リットルのペットボトル1本の水に10ml(原液をペットボトルのキャップ2杯)
◆0.1%(1000ppm)…便、嘔吐物が付着した場合の処理に使用
 希釈方法:500mlのペットボトル1本の水に10ml(原液をペットボトルのキャップ2杯)
 ※注意  
  次亜塩素ナトリウムは金属を腐食させるため、金属部分に使用した場合は10分程たったら水拭きして下さい。また、使用時は十分に換気をしてください。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部