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ワンポイントメディカル 「聞こえの仕組みと音の伝わり方」

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 3月3日は「耳の日」です。この機会に耳に関心をもち、聞こえの仕組みや音の伝わり方について確認してみては、いかがでしょうか?



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1、音を集める(耳介と外耳道)
耳介は、成人では縦5.5cm〜6.0cm、幅2.0cm〜2.5cmの大きさです。音を集める構造は、ヒダの多い、複雑な凸凹をしています。耳介は哺乳類にしかありません。耳介が大きければもっと音を集めることができます。しかし、人が象のように大きくないのは、重低音を生活に必要としないからだといわれています。外耳道は直径6mmで鼓膜までの長さ3cmの管です。まっすぐではなく曲がっています。外耳道の突当りが鼓膜です。
笛を吹くとその笛の管特有の共鳴現象がおきてピーっと音が鳴りますが、外耳道でも同様の共鳴現象がおきて音が大きくなります。

2、音を増幅する(鼓膜と耳小骨)
鼓膜は直径が9mm、厚さ0.1mmの小さい薄い膜で、音が届くと振動します。低音ほどゆっくり大きく振動し、高音では速く小さく振動します。中耳腔に水がたまると十分振動しないため、聞こえが悪くなります。音により鼓膜が振動すると、その動きが3つの耳小骨に伝えられます。ツチ骨(ハンマーのような形)キヌタ骨(布を打つきぬたの形)アブミ骨(馬に乗るときに足をかけるあぶみのような形)といいます。この3つの耳小骨は“てこの作用”により音を何倍にも増幅します。

3、音を神経信号に変える(蝸牛・蝸牛神経)
蝸牛は約2.5回転あり、1本に伸ばすと約3cmとなります。右耳の蝸牛は反時計方向、左耳は時計方向にらせんを巻いています。蝸牛の中に有毛細胞が約13,000個あり、音の波を神経信号へ変換します。神経信号へ変換された音は、蝸牛神経を経て、大脳の聴覚中枢へ伝えられます。脳で音を認識し、様々な音声や生活音を聞き分けています。


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 普段、何気なく聞こえている音は、繊細な器官で成り立っています。時には静かなところで耳を休ませてみるのもいいかもしれません。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部