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ワンポイントメディカル 「B型肝炎」

 B型肝炎に感染している人は、およそ150万人と推定されています。治療は『インターフェロン療法』が中心になりますが、最近ではウイルスの増殖を抑える新しい薬『ラミブジン』が登場し、注目を集めています。
wm2017.7.29 1.jpgB型肝炎もC型肝炎と同様、血液を介して感染します。主な感染ルートは、母子感染や性行為などです。ただし、1985年以降、母親が感染している場合には赤ちゃんにワクチンを接種するようになり、現在では母子感染はほとんどなくなっています。
B型肝炎は感染力が強いのですが、慢性化する割合は低く、慢性肝炎に移行する人は約10%と言われています。

インターフェロン療法
インターフェロンは最初、B型慢性肝炎の治療に使われ、その後C型肝炎に使われるようになりましたが、治療効果はC型肝炎のほうが高いと言われています。DNA型ウイルスであるB型肝炎にもその増殖を抑える効果が期待できる(増殖時にDNAからRNAに転写されたところを叩ける)ため、使用されています。B型で効果がある人は約20%です。

プロパゲルマニウム(セロシオンカプセル)
インターロイキンやインターフェロンなどの産生を促進し、免疫機能を増強させてウイルス排除作用を示します。服用中にかえって肝障害が悪化することがあるので、倦怠感の増強や、白眼や皮膚の色が黄色くなったら注意が必要です。

ステロイド離脱療法
プレドニンなどの副腎皮質ホルモンを比較的大量に短期間投与して肝炎を抑制し、その後、突然投与を中止します。そうすることで、わざと炎症を再燃させ、急性肝炎の状態に持ち込んでウイルスを排除しようという治療法です。副作用も強く、一時的にせよ肝炎を悪化させることにもなる治療法なので、治療途中で重症になる例もあります。

ラミブジン療法
ラミブジンは、B型肝炎ウイルスの核酸の合成を直接抑える働きがあります。ウイルスの増殖を抑制する作用が非常に強く、短期間でウイルスを減らすことができるので、急速な悪化や劇症化を食い止めるのに効果があります。副作用はほとんどありませんが、ラミブジンの使用をやめると肝炎が悪化したり、一定期間治療を続けていると、ラミブジンが効かない「耐性ウイルス」が現れる場合もあります。

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その他
対症療法としてウルソ、強力ミニファーゲンC、グリチロンなどを使うのはC型肝炎と一緒です。


社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部