2022年7月25日
自分で起き上がりができない人を介助する場合、体を起こす介助は、移乗や食事、オムツ交換の時など様々な場面で使われます。1日に何度も繰り返すことになるため、肩や腰に負担が掛かっているという介助者も多いのではないでしょうか。
今回は、てこの原理を利用して、介助する側にもされる側にも無理のない起き上がり時の介助方法を紹介します。
① 介助される人に、これから体を起こすことを伝えます。声を掛けることにより、介助される人がこれから体を動かすことを理解して、不安をやわらげる効果があります。
無理に起こそうとすると、お互いの怪我の原因にもなるため、ひとつの動作ごとに声掛けをするようにしましょう。
② 介助される人のひざを、片方ずつ立てます。両手は胸の前で組むようにします。
介助される人が自分で動ける場合は、できるだけ自分で行ってもらうようにしましょう。
③ 介助される人に手前側を向いてもらいます。
介助者が向ける場合は、介助される人の肩とひざを支点にするとスムーズに向けることができます。
④ 頭を少し持ち上げて、首の下に手を差し入れます。
反対側の手はひざ下に入れて足を手前に引き、ベッドから少し下ろします。
⑤ 頭を上げるのと同時に足を下ろすようにしながら起こします。この時、てこの原理を利用し、お尻を中心に頭で弧を描くように起こします。
✕(悪い例)頭を真っ直ぐに引き上げようとすると、介助者の腕や腰に無理な力が掛かり負担になります。
また、お互いの身体が離れていると支えにくくなるので、なるべく身体を近づけるようにしましょう。
⑥ ベッドの端に座ってもらい、両足を床に着けます。座りが浅い場合は、介助者の膝で介助される人の膝を押し込むようにして深く座ってもらいましょう。
今回は、自力で動けない人を想定して介助のポイントを説明しました。少しでも自力で動ける人には、なるべく自分で動いてもらうようにしましょう。できるところは自分で動いてもらい、できないところだけを介助することが大切です。
介助される人の残存能力をいかすことにより、寝たきりを防ぎ、自分でできたことで介助される人の自信にもつながります。介助される人の状態は、一人ひとり違います。それぞれの残存能力に合わせた介助を行っていきましょう。
社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター
特別養護老人ホーム 南東北ロイヤルライフ館