お知らせ

認知症の便いじりを予防するには?

1、「便いじり」とは何か?
下着やオムツの中の排泄した便を素手で触ったり、便を取り出して自分の着ている衣類や寝具、周辺の壁などに付けたりすることをいいます。

     
1438307.png2、「便いじり」をしてしまう背景は?
便いじりは、ほとんどの場合が排便の課題が要因になっています。

     
①腸の筋肉が弛み便をスムーズに肛門に送る力が衰える
②運動量の減少
③水分や食物繊維の不足

     
これらの要因が重なって便秘になり、下剤を使用します。効きすぎた場合、下痢になってしまい排便の失敗につながります。
トイレで排便する時よりも、オムツの中に排便した時に便いじりが生じやすい傾向にあります。
便意の薄れ・便秘による苦痛・下剤の調整ができないことによる下痢からくる便失禁。これらは便いじりの引き金になります。

     
3、「便いじり」が起こる理由

①自分で何とか後始末をしたい
オムツの中の物が便らしいと認識している場合、自分で後始末をしようとしている場合があります。
②オムツの中の異物を取り除きたい
便意が薄く排便した意識や記憶が無い場合、便を異物と感じ、それを取り除こうとして便いじりをしてしまいます。
③かゆみや痛みを何とかしたい
便が肛門や周囲の皮膚に長く接触していると、かゆみや痛みの原因になります。かゆみを感じてお尻を掻くと、当然近くにある便も手指に付着します。
また、便秘の場合は、硬くなった便が肛門に引っかかり出切らずに痛みを感じることがあります。それを何とかしようと、自分で肛門から便を掻きだそうとして便をいじってしまうこともあります。
④便を他の物と認識している
便を便と認識することができずに、他のものと思ってしまうことがあります。

     
以上の例がそのまま当てはまるとは限らず、また、いくつかの理由が重なる場合もあります。しかし、どのような理由にせよ、便いじりには本人なりの理由があります。それを探ろうとする姿勢が大切です。

     
4、日頃からできる対策として

①こまめなオムツ交換の実施
便臭がしたり訴えがあった際は、できるだけ早めにオムツを交換し、清潔に保つことで本人の不快感を減らすことが大切です。
②運動
お通じを良くするために、足踏みやラジオ体操などの体操、軽いストレッチなどが効果的です。
1466887.png③食事に食物繊維を多く取り入れる
ゴボウ、ブロッコリー、菜の花、オクラなどの食物繊維を含んだ野菜を食事に摂り入れるようにしましょう。また、食が細い方には食物繊維のサプリメントなども効果があります。
また、日中の活動量が少ないと、食事量だけでなく水分摂取量も少なくなりがちです。水分補給は、食事以外に1日合計1000ml程度必要とされています。起床時やおやつの時などにも、こまめな水分摂取を促すようにしましょう。

     
最後に、便いじりをしてしまった時には、相手の気持ちに共感し寄り添う姿勢が大切です。
一人ひとりに合った適切な排泄介助を実施し、できるだけ小まめにオムツ交換を行いましょう。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター
特別養護老人ホーム 南東北ロイヤルライフ館