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2009.12.1 南東北病院グループニュース ロコモティブシンドローム(locomotivesyndrome)の診断と治療について

歩けなくなるかもしれない症候群シリーズ3
ロコモティブシンドローム(locomotivesyndrome)の診断と治療について

メタボリックシンドロームとロコモティブシンドローム
 メタボリックシンドロームは、心臓や脳血管などの内臓の病気で健康寿命が短くなったり要介護状態になるのに対し、ロコモティブシンドロームでは、運動器の障害が原因でおこります。ロコモティブシンドロームとメタボリックシンドロームや認知症を、合併する場合もあるといわれています。高齢者のメタボリックシンドロームとロコモティブシンドロームは、幅広い対応策が必要とされ、年を取って寝たきりや、痴呆になって、要介護となることはできるだけ避けたいものです。これらの健康寿命の延伸、生活機能低下の防止には、予防、早期発見・早期治療が重要です。

ロコモティブシンドロームの診断
ロコモティブシンドロームのチェック方法は、次の5つの項目のうちひとつでも当てはまればロコモティブシンドロームが疑われます。(みなさんはどうでしょうか?)
・片脚立ちで靴下がはけない。
・家の中でつまずいたり滑ったりする。
・階段を上るのに手すりが必要である。
・横断歩道を青信号で渡りきれない。
・15分くらい続けて歩けない。

予防のためのロコモーショントレーニング
ロコモティブシンドローム予防対策としての転倒予防、骨折予防などのロコモーショントレーニング
・「開眼片脚起立運動訓練」について
できる方には片方の脚で、 左右1分間ずつ立ちますが、重症の方は机に両手をついて、片方の脚で立ちます。できるようになれば、指だけを机につくなど支えを減らしていきましょう。
・「椅子からの立ち上がりを含めたスクワット」について
できる方には通常のスクワットが基本です。5回〜6回繰り返し、1日3回行いましょう。重症の方は、机に両手をついて椅子からゆっくり立ち上がり、ゆっくり座ることを繰り返します。できるようになれば、指だけを机につくなど支えを減らしていきましょう。また、痛みがある場合は、「スクワットを浅くする」、「机の支えのもとに行う」などの運動姿勢をチェックする必要があります。痛みが改善されない場合は整形外科専門医を受診する必要があります。
運動の際には、転倒しないようにつかまることができるような場所で行ったり、家族にいつでも支えてもらえるような安全な状況で行いましょう。

ロコモティブシンドロームの治療:ロコモーショントレーニング
転倒予防、骨折予防などのためにロコモティブシンドロームを治療することをロコモーショントレーニングといいます。ロコモーショントレーニングは、自宅でも行えますから、毎日継続して運動療法を実施することができる簡単な運動です。運動方法は、開眼片足立ち訓練、スクワットなどがあります。 ロコモーショントレーニングは、整形外科専門医によるメディカルチェックが必要ですので、高齢者の転倒・骨折の原因をチェックしてから、無理せず、楽しく、いろんな運動を取り入れて行いましょう。また施行後も効果判定のために、定期的に、お近くの整形外科専門医のチェックを受けることをお勧めいたします。

歩けなくなるかもしれない症候群シリーズ1 
ロコモティブシンドロームとは!?
http://www.kaigo-hiwada.com/blog/000853.html
歩けなくなるかもしれない症候群シリーズ2 
ロコモティブシンドロームの原因
http://www.kaigo-hiwada.com/blog/000882.html
メタボリックシンドロームシリーズ
メタボリックシンドローム 自分の適正体重を知ろう!!
http://www.kaigo-hiwada.com/blog/000800.html

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター
事務 伊澤孝夫