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2010.4.10 ワンポイントメディカル 自宅での疥癬(かいせん)の対処法〜皮膚感染症対策〜

ワンポイントメディカル
自宅での疥癬(かいせん)の対処法〜皮膚感染症対策〜
自宅でも発症します!!

 最近、高齢者の疥癬(かいせん)による通所介護(デイサービスセンター)や短期入所生活介護(ショートステイ)の利用が完治するまで中止となることが多くなってきています。老人ホームなどの施設で流行するだけでなく、自宅でも発症するのです!!
介護サービスの利用が中止となる場合がある疥癬(かいせん)とは一体どのような病気なのか!?一緒に生活する家族は感染することはないのか!?そこで、疥癬の症状、うつり方(感染経路)、対処法をご紹介します。

疥癬(かいせん)とは?
ヒゼンダニ(疥癬虫)というたいへん小さなダニの一種が、皮膚に寄生しておこる「かゆみ」を伴う皮膚の病気(皮膚感染症)です。この病気には、通常の疥癬のほかに、重症なタイプの疥癬(角化型疥癬 別名:ノルウェー疥癬)と呼ばれる二つの種類があります。

疥癬の症状は?
 感染してから、2週間から約1ヶ月の潜伏期間(症状の出ない期間)があって発症します。重症の疥癬からうつった場合は、その潜伏期間は短く早く症状が出る場合があります。また、一度直って、二回目、三回目の感染では感染後1ヶ月経たずにすぐ痒くなってくる場合もあります。症状には、激しい痒みがあり、たいてい顔や頭をのぞく全身にみられ、夜、お布団の中で体が温まったときに痒くなるのが疥癬の特徴です。
 体には、「赤い小さなぽつぽつ」、「大きなしこり」「がさがさが体、腕、脚」などに見られるほか、「指の股」「手のヒラ」「足のうら」などに水ぶくれ、疥癬トンネルと呼ばれる3〜6ミリくらいの細長い皮疹などが特徴的です。
疥癬は、皮疹を、掻く事によって、また二次感染によって色々複雑な状態になってきます。
疥癬の症状 Symptom of mange 疥癬の症状 Symptom of mange2 疥癬の症状 Symptom of mange3
   
通常疥癬の症状
かかり易い状況:正常でもかかる。
感染力:弱い
症状:赤いぶつぶつ、疥癬トンネルなど
かゆみ:強い
症状が出る部位:全身(顔、頭を除く)
特に、太もも内側、脇の下などの柔らかい部分から症状が出やすいです。

重症なタイプの疥癬(角化型疥癬 別名:ノルウェー疥癬)の症状
かかり易い状況:体力が低下している。
感染力:強い
症状:垢が増えたような状態など
かゆみ:状況による。
症状が出る部位:全身

疥癬のうつり方(感染経路)
感染経路は、通常疥癬から感染する場合と重症なタイプの疥癬から感染する場合があり、感染する力の強さが違うので注意をしましょう。
通常疥癬
直接経路:長い時間、肌と肌が直接ふれることで感染する。少しふれる程度であれば感染することはほとんどありません。
間接経路:疥癬の患者さんが使用した寝具や衣類などを交換せずに、他の人が使用することで感染することもまれにあります。
重症なタイプの疥癬(角化型疥癬 別名:ノルウェー疥癬)
感染する力が強いので短い時間の接触、衣類や寝具を介した間接的な接触などでも感染します。また、皮膚からはがれ落ちたあか(角質)にも多数のダニが含まれており、感染の原因になることがあります。

診断は?
痒みと、特徴的な皮疹があれば、診断は簡単です。症状が軽度な場合などは診断が難しいため、長いこと療養しているお年寄りがいないか、家族、友人に痒がっている人がいないか、介護、お見舞いなどに行く機会が多くないか、などという情報がとても重要になりますので、皮膚科で診察を受ける場合、そういう情報はしっかりと医師に伝えましょう。

治療は?
 治療には塗り薬または飲み薬が使われます。塗り薬が使われる場合には、塗り残しがないように通常疥癬では首から下の全身に、角化型疥癬ではかおも含めて全身にくまなく塗る必要があります。特に手や足、外陰部には念入りに塗りましょう。かゆみに対してはかゆみ止めのお薬が使われます。
お薬の使い方ややめる時期については、必ず先生の指示にしたがってください。

疥癬と診断されたら?(対処法)
通常の疥癬の場合
・介助時の注意:長い時間、肌と肌を直接ふれない。
・部屋:寝る時は同室で布団を並べて寝ない。
・入浴:入浴時にタオルなど肌に直接ふれるものを一緒に使用しない。
・接触後(介助後など):患者さんに接した後はきちんと手を洗うようにする。
重症なタイプの疥癬(角化型疥癬 別名:ノルウェー疥癬)の場合
・介助時の注意:感染力がとても強いので、患者さんに接するときは予防着や手袋を着用する。
・部屋:なるべく個室を用意する。
・衣類・寝具:衣類やシーツなどはこまめに交換し、取り扱いは他の方とは別にする。
・洗濯:洗濯物は他の方とは別に扱い、乾燥機を使用するか、50℃以上のお湯に10分以上浸した後に洗濯する。
・トイレ:洋式トイレは、便座などから感染することもあるので注意しましょう。
・掃除:患者さんが接触しているベッドマットなどは掃除機で表面をていねいに掃除する。患者さんから落ちたあか(角質)で感染することもあるので、お部屋は毎日ていねいに電気掃除機をかけ、掃除機のパックは毎日取り換える。
・入浴:入浴時にタオルなど肌に直接ふれるものを一緒に使用しない。また、入浴はできるだけ毎日行い、そのときには飛び散らないように厚くなったあか(角質)をしっかりこすり落とす。
・消毒:患者さんがいるお部屋は、治療を始めたときと治療が終わったときに消毒する。

※写真提供:南東北春日リハビリテーション病院
http://www.kasuga-rehabili.com/index.php

社会福祉法人 南東北福祉事業団
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