過去の記事

2010.7.22 ワンポイントメディカル 熱中症 〜猛暑日続く!!予防と対策をしっかりしましょう!!〜

ワンポイントメディカル

熱中症
(ねっちゅうしょう)

Hyperthermia

熱中症とは、暑熱環境で発生する障害の総称です。急に暑くなったときに多く発生しています。また、梅雨の合間に突然気温が上昇した日や梅雨明けの蒸し暑い日などに起こりやすいので注意が必要です。熱射病の発生条件は、「高温多湿下で、汗が蒸発しにくい」「風が弱く、身体周囲の熱が逃げにくい」「日射を受け、体温が上昇する」などの気象や環境状況により起こります。
症状としては、主に熱失神、熱疲労(熱ひはい)、熱射病、熱けいれんの四つに分けられます。

熱中症の症状
熱失神
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳血流が減少しておこります。めまい、失神などがみられ、顔面そう白となって、脈は速くて弱くなったりします。

熱疲労
脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられます。

熱射病
体温の上昇により、中枢機能に異常をきたした状態。意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり、死亡率が高いとても危険な症状です。

熱けいれん
大量に汗をかいたときに水だけしか補給しなかったため、血液の塩分濃度が低下して、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったけいれんがおこります。

救急処置法
熱失神・熱疲労の場合
涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分を補給すれば通常は回復します。
足を高くし、手足を末梢から中心部に向けてマッサージするのも有効です。
吐き気やおう吐などで水分補給ができない場合には、病院に運び、点滴を受ける必要があります。
熱射病の場合
死の危険のある緊急事態です。体を冷やしながら、集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での処置が重要となります。体温を下げるためには、水をかけたり濡れタオルを当てて扇ぐ方法や、くび、腋の下、足の付け根など太い血管のある部分に氷やアイスパックをあてる方法が効果的です。
循環が悪い場合は、足を高くし、マッサージをします。
症状としては、意識の状態と体温が重要なポイントとなります。意識障害は軽いこともありますが、応答が鈍い、言動がおかしいなど少しでも異常がみられる時には重症と考えて処置しましょう。
熱けいれんの場合
生理食塩水(0.9%)を補給すれば、通常は回復します。例えば、市販の飲料にナトリウムが40〜80mg(100ml中)が入っていれば、「0.1〜0.2%の食塩水」に相当するので、成分表を見てこまめに補給しましょう。

熱中症予防のポイント
ポイント1
熱中症は、屋外だけでなく屋内で最も多く発生していいます。室内でもこまめな水分補給を行い、室内が高温とならないよう風通しをよくするなどの対策をしましょう。
ポイント2
気温の上昇に伴って熱中症になる方が増加する傾向にあるので、気象情報に注意しましょう。特に最高気温が35度を超える日(猛暑日)は、発症しやすくなります。温度計を設置して、自分のいる場所の環境を把握しましょう。
ポイント3
スポーツを行っている際に、グランドや体育館等での発生が最も多いことから、炎天下における屋外や室内温度の高い場所でのスポーツ等には注意しましょう。
ポイント4
外出時には帽子をかぶったり、日傘をさしたりして、直接日光に当たらないようにしましょう。
ポイント5
のどが渇いてからではなく、のどが渇く前に水分摂取をしましょう。
水分摂取には、水だけではなく、スポーツドリンク等のイオン飲料もお薦めです。
ポイント6
体調の不良を感じた場合は、早めに医療機関で受診するようにしましょう。

熱中症の発生(温度)条件と予防指針
〜熱中症予防のための運動指針〜

気温35℃以上 WBGT温度31℃以上 運動は原則中止
WBGT温度が31℃以上では、皮膚温より気温の方が高くなる。
特別の場合以外は、運動は中止する。

気温31〜35℃ WBGT温度28〜31℃ 厳重警戒
熱中症の危険が高いので激しい運動や持久走など熱負担の大きい運動は避ける。運動する場合には積極的に休息をとり水分補給を行う。
体力が低いもの、暑さに慣れていないものは運動中止。

気温28〜31℃ WBGT温度25〜28℃ 警戒
熱中症の危険が増すので、積極的に休息をとり、水分を補給する。
激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる。

気温24〜28℃ WBGT温度21〜25℃ 注意
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
熱中症の兆候に注意するとともに運動の合間に積極的に水を飲むようにする。

気温24℃まで WBGT温度21℃まで ほぼ安全
通常は熱中症の危険性は小さいが、適宜水分の補給は必要である。
市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)温度
WBGT(湿球黒球温度(しっきゅうこっきゅうおんど))温度とは、人体の熱収支に影響の大きい温度、輻射熱(ふくしゃねつ)、気温の3つを取り入れ乾球温度(乾球温度)、湿球温度、黒球温度の値を使って計算された温度のこと。

乾球温度:乾湿温度計(乾湿計)において、乾球側を示す温度。いわゆる「空気の温度」のこと
湿球温度:気体と蒸気の温度の一種
黒球温度:労働環境や生活環境での輻射熱の温度のこと

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター