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ワンポイント在宅介護 認知症を理解する③

ワンポイント在宅介護

認知症を理解する③

 認知症は、誰もがなる可能性のある身近な病気です。高齢化が進む日本では、いまや85歳以上の4人に1人が認知症になっていると言われます。

 前回の「認知症を理解する②」に引き続き、今回のワンポイント在宅介護では、

“認知症への対応の仕方”

…を中心にご紹介したいと思います。

認知症への対応の仕方zaitakukaigo2013-4-A.gif

■本人はどんな気持ちなのでしょう?
 認知症の中核症状の中の記憶障害が進行すると、最近の出来事を思い出すことが不得意になります。そのために、さっき質問したことを忘れて、同じ質問を何度も繰返すために、家族や周囲の人をイライラさせたり、家族から煙たがられる場面が多くなります。自分では、何度も質問を繰り返しているという意識はないので、どうして家族がイライラしているのか理解できず困惑します。

 また、実行機能障害、失認、失行、言語障害などの症状が進行すると、日常生活で以前のように上手くできない場面が多くなりますが、自分自身では解決することができないので、「わからない」、「昔のようにできない」と感じます。「自分自身が壊れていくようだ」と表現する人もいます。

 こうした状況で、家族から強い言葉で何度も注意されたり、叱りつけられると、叱られたという印象だけが残ってしまい、不安や寄る辺なさが募り、本人がイライラして不機嫌になったり、いずれ置いてきぼりにされるのではないかと思い込んで、その後の行動が消極的になってしまいます。

 家族や周囲の人によって大切なことは、「認知症は病気である」ということを理解して、本人の気持ちに寄り添った対応を心がけることです。
「何が正しいか」という考えよりも、「どうしたら円滑・円満にことが運ぶか」ということを優先して対応することで、安心・一体感が生まれ、より良い関係を保つことができるでしょう。

■困った行動への対処法は?
 家族や介護者の悩みで多いのが、妄想、無目的に歩き回る、攻撃的になるといった行動・心理症状(BPSD)です。
 これらの症状は、身近で介護に携わる最も世話をしている家族に対して現れやすい傾向があります。
 本人の気持ちを理解して受け入れ、適切に対応することでトラブルを避けることもできます。zaitakukaigo2013-4-B.gif

(もの盗られ妄想)
 お金や貴重品を盗られたと思い込み、誰かが盗んだと訴えることがあります。
 家族としては気分を害することもあるかもしれませんが、言い分を頭から否定したり、対立したりはしないで、まずよく話を聞きましょう。
 「おやつを食べましょう」などの声かけをして、気持ちをほかに向かわせる工夫も効果的です。

(無目的に歩き回る)
 無目的に歩き回る行動は、目的を忘れてしまう、自分の居場所がわからなくなり不安が強まるなどの理由から起こります。
 日ごろから名前や連絡先がわかるものを身につけてもらったり、最寄りの交番などに相談して、保護されたときに連絡してもらえるようにしておきましょう。

(攻撃的になる)
 病気の進行によりいろいろなことがわからなくなったり、できなくなったりすることへの不安や焦りなどから、興奮しやすくなり、かんしゃくや暴力を起こしてしまうことがあります。そのときは否定したり叱ったりせず、本人を追いつめないようにすることが大切で、普段から安心できるような対応や環境を心がけることが予防になります。
 かんしゃくや暴力が始まってしまったら、落ち着かせることを最優先に考えましょう。

(失禁)
 トイレが間に合わなくても失敗をなじってはいけません。
 寝る前に定期的にトイレに誘う、張り紙をして夜は照明をつけトイレの場所をわかりやすくするなど工夫しましょう。zaitakukaigo2013-4-C.gif


●3回にわたり「認知症を理解する」と題してお送りしましたが、いかがでしたでしょうか。「認知症」の方への対応に少しでもお役に立てて頂けたら幸いです。今後も「認知症」については取りあげて行きたいと考えています。

 


※参考文献
 認知症「いっしょがいいね」を支えるガイドブック/第一三共株式会社


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