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ワンポイントメディカル 「狭心症の対処法」

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 急に心臓が激しく痛む狭心症、すぐにおさまるからと心臓の不調を放っておくと、心筋梗塞に進み、不整脈が起こると、命の危険があります。
心臓は、体中に血液を送るポンプの役割をしています。しかし、体全体に休み無く血液を送り出す為には、心臓自身にも栄養が必要な為、自らに血液を送る血管を持っています。その血管が狭くなったり、詰まってしまうと、一時的に痛みを伴う発作に襲われます。これが狭心症です。

症状
●胸が圧迫されたように苦しくなる
●心臓がギュッと痛くなる
●胃や肩、歯など、心臓以外の様々な体の部分に不調や痛みが表れる  
 など

発作
通常1〜2分、長い人で15分程度続きます。ひどいときは意識不明の状態になり、心臓が停止する場合もあるので注意が必要です。詰まった状態が30分以上続くと心筋梗塞と診断されます。

狭心症の原因
大きく「動脈硬化タイプ」と「けいれんタイプ」の2種類があります。
○動脈硬化タイプ
wm2016.1.18 2.jpg血管の壁が厚くなることで血管が狭くなったり、詰まったりして、血液が滞るもの。運動などをして血流が増えた時に発作が起こります。長い距離を歩いたり、階段を上がる時、胸が痛くなるような人は、このタイプです。
○けいれんタイプ
動脈硬化で血管が狭くなっている部分が、さほどあるわけではありません。
「けいれんタイプ」の発作は、血管がけいれんすることによって起こります。これを「攣縮(れんしゅく)」といい、血管がけいれんして縮み、その結果心臓に必要な血管が流れなくなります。安静時にも症状がでるのが特徴です。たとえば、肩の痛みが1年程続き、ある日、いつもの肩の痛みに襲われて放置していた所、痛みが全身に広がり、激しい心臓痛になり病院へ、急性の狭心症と診断されるタイプです。
このタイプの血液中には、けいれんを起こしやすくする物質があり、レムナントという血液中の脂質の一種で、中性脂肪やコレステロールを運ぶ働きをしています。血管のけいれんを起こしやすい人の血液には、レムナントが多いということが最近の研究からわかってきました。レムナントは、食後すぐに、血液の中に出現しますが、通常はコレステロールなどに変化し、姿を消します。ところが、血液中の中性脂肪値の高い人の中には、レムナントがいつまでも血液中に残ってしまうことがあるのです。血液に脂肪分が多い、いわゆる「血液ドロドロ」の人は、血管がけいれんをおこしやすいといえます。レムナントは、中性脂肪に絡む物質で、食生活が乱れると一気に高まる性質があります。特に夜の暴飲暴食は夜間の血中レムナントを高め、これが冠状動脈に働きかけてけいれんを起こすことが分かっています。深夜から早期にかけてポックリ亡くなる人が多い背景にこのレムナントの存在が関係している可能性は小さくないでしょう。

狭心症の予防の基本  「運動」と「食生活の見直し」
wm2016.1.18 3.jpg特に運動は重要で、中性脂肪や糖の血中への蓄積を防ぎ、レムナントの値が高まる事も予防してくれます。食生活は動物性脂肪と塩分の摂取を控え、青魚と野菜を積極的に食べましょう。

日本人は欧米人に比べて血管がしなやかだと言われます。その要因として、青魚を好んで食べる事のほかに、緑茶を飲む事とシャワーではなくお風呂に入る事なども関係しているようです。
せっかく動脈硬化が重症化しにくい習慣を備えた国に暮らしているのですから、少し生活習慣を見直すことを意識してみませんか。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部