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ワンポイントメディカル 「食中毒(アニサキス)について」

 暑くてジメジメした日が続いています。この時期、心配なのはやはり食中毒ではないでしょうか。そこで、今回は食中毒の中でも最近流行っている「アニサキス食中毒」について、紹介します。

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アニサキスとは?
アニサキスは回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称で、海産動物に寄生する寄生虫です。ヒトにアニサキス症を発症させる原因寄生虫ですが、ヒトへ感染するときには主にサケ、サバ、アジ、イカ、タラなどの魚介類から感染します。

症状

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寄生部位(穿孔部位)により、胃アニサキス症、腸アニサキス症、腸管外アニサキス症に分けられます。多くは消化管壁を貫通出来ないが、貫通した場合は穿孔性腹膜炎や寄生虫性肉芽腫を発症することもあります。
胃アニサキス症の症状は、食後数時間のうちに始まる激しい腹痛と嘔吐です。
嘔吐に際しての吐しゃ物は胃液のみで、下痢も一切認められないことが一般的な食中毒と異なる特徴です。これはアニサキスの虫体が寄生のために胃壁や腸壁を食い破ろうとするために生ずる症状であり、激痛のため診断の確定を待たず緊急開腹せざるを得ないこともあります。

治療
胃内寄生の場合、感染の初期段階での一般的な治療は、開腹手術あるいは上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)を用いて、消化管粘膜上の虫体を確認し、生検にもちいるのと同じ鉗子を用いて虫体を摘んで取り除く方法があります。虫体を取り除くとすみやかに症状が消失することが多いです。

アニサキスの予防法
お刺身は、新鮮なものを!
加熱…60℃1分以上の熱処理
冷凍…−20℃以下を24時間以上で死滅

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部