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腸内環境

 看護師.png長い自粛生活で感じた不安や運動不足など、目に見えないストレスが重なり、心身の不調としてあらわれてくる頃です。また、春から初夏にかけては気候の変動も大きく、寒暖差により体調を崩すことも少なくありません。腸内環境を整えることで、こうした「なんとなく不調」を改善することができます。

     
人間の腸には、約1000種類、100兆個から1000兆個の細菌が棲みついています。これらの細菌は『善玉菌』『悪玉菌』『日和見(ひよりみ)菌』の3種類に分かれ、そのバランスにより腸内環境は日々変化しています。
『悪玉菌』というと悪者のイメージですが、肉類の分解などに不可欠な存在で、まったく無くなってしまっても困ります。大切なのは、そのバランスです。腸内細菌は個人差も大きい上に、日によっても変化しますが、加齢によってビフィズス菌などの善玉菌が減り、ウェルシュ菌などの悪玉菌が増えることが分かっています。毒性物質を出す悪玉菌が増え過ぎると、便秘や下痢の原因となる他、肥満や動脈硬化症、生活習慣病とも関連があるなど、全身の健康にとって大きな影響があります。
om2021.3.8 1.png『免疫』の働きについても、腸内細菌がとても重要です。腸には体内の免疫細胞の約70%が集まり、免疫機能の要として働いています。腸管免疫と呼ばれる腸の免疫システムが、体外からやってきた細菌やウイルスと戦っています。さまざまなリスクにさらされている今だからこそ、体調をしっかりと整え、免疫で外敵から身を守るために、腸内環境が大切だということです。
腸内環境を整えるうえで大切なことは、健康な腸内環境にとって欠かせない善玉菌の割合を増やすことです。そのために、善玉菌そのものであるビフィズス菌や乳酸菌を含むキムチ、チーズ、ヨーグルト、納豆、漬物などの食品をしっかりと摂りましょう。ビフィズス菌や乳酸菌は腸内で長期間生き続けることができないので、毎日継続して食べることが大切です。これらの食材が手に入りにくいときや、毎日続けることが難しいと感じたときは、サプリメントで補うという方法もあります。
もう一つの善玉菌を増やす方法は、すでに腸内に存在する善玉菌にエサを与えて善玉菌の増殖を促すことです。水溶性繊維質やオリゴ糖を多く含む食品を摂るようにしましょう。代表的な食品としては、アスパラガス、たまねぎ、ニンニク、ごぼう、アボカド、リンゴ、バナナなどの果物類、野菜類、豆類があります。オリゴ糖の1日あたりの有効摂取量は2~6gですが、急にたくさん摂ると下痢をすることがあるので、1回の量を減らして2~3回に分けて食べたり、最初は少ない量から食べるようにして徐々に増やしていくなど、工夫が必要です。

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季節の変わり目に多く見られる心身の不調には、自律神経の乱れも大いに影響しています。血管、消化器、心臓、肺、瞳孔、唾液腺など全身に分布する自律神経は『交感神経』と『副交感神経』に分かれ、そのバランスにより血圧や体温、消化、免疫機能などをコントロールしています。
そして、腸の働きをコントロールしているのも自律神経です。腸管は、交感神経によって収縮、副交感神経によって拡張、という動きを繰り返しています。ところが、自律神経のバランスが乱れると腸管の動きが悪くなり、便秘や下痢をはじめ、さまざまな生活習慣病の原因にもなります。腸の働きを良くして腸内環境を改善するには、自律神経のバランスを整えることが大切なのです。
逆に、腸内環境を整えると、自律神経の乱れが改善されることがわかっています。このように互いに影響し合っている腸内環境と自律神経をどちらも良い状態にすることは、全身の不調を解消する一番の近道です。

    

      

     社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部