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ヒートショックについて

看護師.png急激な温度差は大敵です
 凍えるような寒い日は、ゆっくりお風呂につかって冷えや疲れを癒したいものです。
ところが、この寒い冬の入浴には危険が潜んでいます。
一般的な日本の住宅では、家族の集まる居間などは暖房器具を置いて暖めますが、浴室や洗面所、トイレ、廊下などを暖めるという習慣は見られません。そのため、お風呂に入ろうと、暖かい居間から寒い浴室へ移動し、熱い湯船につかると、体は急激な温度変化にさらされてしまいます。
私たちの体には、体温を一定にキープするために、暑いときには血管を拡張し体内の熱を放出しようとするのに対して、寒いときには血管を収縮し体外に熱を逃がさないようにする仕組みが備わっています。血管が収縮すれば、心臓はいつも以上の力を使って全身へ血液を送り出そうとするため、血圧は上昇します。血圧が急上昇した直後に熱い湯船につかれば、血管は拡張して血圧は急降下します。そうすると、心臓や血管などに大きな負担がかかってしまうのです。また、血圧の急降下は、貧血を引き起こし、立ちくらみによるケガや溺水につながる恐れもあります。
このように、急激な温度差による急激な血圧や脈拍などの変動、そのことで体に生じる様々な影響のことを『ヒートショック』といいます。ヒートショックは、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など深刻な疾患につながりやすく、場合によっては、死に至るケースもあります。日本国内のヒートショックによる死亡者は、年間で1万人以上といわれ、これは、交通事故の死亡者数を約3倍も上回っています。特に高齢者は影響を受けやすいといわれていて、高血圧や動脈硬化、糖尿の傾向がある人はより注意が必要です。

     
ヒートショックを防ぐために
om2021.3.9 1.png家の中でヒートショックのリスクの高い場所として、浴室以外に洗面所やトイレも挙げられます。ヒートショックを防ぐには、"温度差を減らす"ことが重要です。十分な暖房設備と防寒がポイントです。
◎脱衣所やトイレを暖房器具で暖めましょう
暖房器具の設置が難しい場合には、入浴前にお風呂のふたを開けたり、シャワーをまいたりして、蒸気で浴室全体を暖めておきましょう。浴室が暖まっていない一番風呂を避けることや、浴室の床にマットやスノコを敷くことも有効です。
◎お風呂のお湯の温度を38~40℃くらいの低めに設定しましょう
42~43℃の熱めのお風呂だと、心臓に大きな負担がかかります。負担をやわらげるために、手足にかけ湯をしてから湯船に入りましょう。湯船から出る時は、急に立ち上がると血圧が急降下する原因になってしまうので要注意です。
◎食後すぐの入浴や飲酒後の入浴は避けましょう
食後は胃や腸など消化器に血液が集中するため、血圧が下がりやすくなっています。入浴は食後1時間以上たってからにしましょう。入浴前後には水分の補給を忘れずに。
◎家の寒いところへ移動するときには、上着を羽織りましょう
特に、朝起きてすぐのトイレは危険です。カーディガンやストールでしっかり防寒することが大切です。暖房便座(電気で暖かくなる便座)の設置も良いでしょう。
◎高齢者や心臓病の人の入浴中には、家族が声かけしましょう
一人暮らしの高齢者の場合は、可能であれば、日没前の気温が高く明るいうちの入浴もおすすめです。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター 看護部