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橋本顧問のひとりごと 「利用者さんであり、友人であり」

 ここ「総合南東北福祉センター」に勤務して15年。長いようで短く、それ故に充実した日々を過ごしてきました。現在は専ら、多くの利用者さんと過ごす毎日です。そんな中、私にとっては利用者さんであり友人でもある二人が存在します。二人は車椅子を使用しています。今回は、そのうち一人の友人との一日を紹介してみます。


彼は私がまだ施設長のころ、障害者デイサービスを利用していて、その後今の南東北さくら館に入所しました。なかなかのハンサムで、好青年です。一人で居るのが好きで、テレビ等には関心を示しません。楽しみといえば、リハビリ室に備えてある遊具を使うことと、自動車です。少年の頃から車に興味があったようです。
hg2015.7.27 1.jpg入所後、車に精通している利用者さんから、私の車を教材にして二人で知識を教わりました。その甲斐あって、彼は今では私の車の整備士的存在です。キーを預けると車に直行しドアを開け、駐車場から点検スペースを探すと、私に車の移動を促します。車を移動したら点検開始です。まずはボンネットを開け、各部の名称(バッテリー、ヒューズボックス、エアクリーナー、ラジエーター、エンジン、エンジンオイル、ブレーキオイル、ハンドルオイル、ウォッシャー液…)を復唱、これは常に満点です。次は自らエンジンを始動し、ライト(遠、近)とウインカー。しっかりと一つ一つ点検し、私にOKサインを送ってくれます。ブレーキランプとバックランプは走行時に点検されます。そして給油口の確認、最後にトランク内の整頓をして修了です。この間40分、点検をやり遂げ満足感に満ちた様子を見ると、いつも嬉しく感じます。
その後は交流サロンで一休みし、次週の相談をします。

雨の日はオセロで対戦しますが、このゲームは強い!
hg2015.7.27 2.jpg先々まで読んで手を進める姿は真剣そのもの。勝利した時の笑顔と全身で勝ちを表現する表情に、私はただ頭を下げるだけとなります。
彼とのこの二つの付き合いには、ルールが決められています。それは、毎日髭を剃ることです。最近までは私が剃っていましたが、今はさくら館のスタッフに剃ってもらっています。時折剃り忘れを指摘すると、スタッフが忙しいのでと、待つことを覚えたようです。私が剃るかと言葉を掛けると、NOとの返事が返ってきます。
私達には、この他にも別の利用者さん達との付き合いもあり、毎日を楽しく過ごしています。

春から秋口までは専ら車の点検、その他の季節や雨の日は交流サロンでのオセロゲーム。というのが、毎週水曜日の二人の行事です。
今年も、6月に入ると週一回お便りをもらい、時間の許す限り付き合っています。
これからも、仲良く過ごしていきたいと思います。

社会福祉法人 南東北福祉事業団
総合南東北福祉センター
顧問 橋本静昌