2015年11月26日
冬季に流行する感染症。
今回は「ノロウイルス」と「インフルエンザ」について、基礎知識と予防法を解説します。
●新型ノロウイルス?
2015年は、検出感度の低い新型ノロウイルスが流行しています。
例年 ノロウイルス 遺伝子型「G2 4」
↓
今季 ノロウイルス 遺伝子型「G2 17」
ノロウイルスの迅速検査で陽性と判断されない事例が増加し、診断や感染対策の遅れによる感染拡大が懸念されています。
厚生労働省から自治体への注意喚起があり、各自治体でも警戒を強化しています。
●ノロウイルスの基礎知識
〇原因となるウイルス:ノロウイルス
〇特徴:冬季に流行
感染力が強く、少ないウイルスの数でも感染する
集団発生しやすい
〇症状:突然の嘔吐・下痢・腹痛・微熱など…
症状は平均1〜2日で軽快へ向かう
※高齢者の場合、吐物を誤嚥して誤嚥性肺炎になったり、吐物による窒息や下痢・嘔吐による脱水で死亡するケースもあります。
〇潜伏期間:24時間〜48時間
〇ウイルス排出期間:症状消失後も1週間は排出
※症状消失後も、感染源になりえます。
〇検査・診断:ノロウイルス迅速検査
※ノロウイルスに感染していても陰性となる場合があり、感染していないことを100%確かめることはできません。
〇治療:治療法なし、対症療法のみ
〇感染経路:①経口感染
ウイルスに汚染された食物を摂取
②接触感染
感染者の吐物や排泄物
③飛沫感染
感染者の吐物や排泄物が飛び散り、飛沫として吸い込む
●インフルエンザの基礎知識
〇原因となるウイルス:インフルエンザウイルス
〇特徴:冬季に流行
小児が感染しやすく、高齢者は重症化し死亡率も高い
〇症状:発熱・咳・鼻汁・咽頭痛・関節痛・全身倦怠感など…⇒個人差あり
〇潜伏期間:1〜5日(3日以内が多い)
〇感染期間:症状出現24時間前から5日間
※症状が出る前からウイルスを排出しています。
感染力は発症後3日間が強いといわれています。
〇検査・診断:インフルエンザ迅速抗原キット
※検査の結果は100%ではありません。
発症早期で検体に含まれるウイルス量がまだ少ない時期は、陰性となるケースが見られます。翌日に再検査するなどの対応が必要です。
〇感染経路:飛沫感染
【ウイルスの生存期間】
●予防法について
感染予防の基本は手指衛生(手洗い)です。
机、ドアノブ、エレベーターボタン、吊革などに付着した病原体が、手を介して口、目、鼻などの粘膜から体内に入り感染します。石鹸と流水による手洗いが、感染の機会を減らします。
また、可能な限り人込みは避ける、バランスの良い食事や十分な休息をとる、市中での流行状況を把握するなどして、感染症の予防に努めましょう。
インフルエンザは、予防接種を受けることで重症化を防ぐ効果もあります。
家族が感染したり感染症の症状がある場合には、早期に病院を受診し診断を受けましょう。
検査結果が陰性であっても、感染症が疑われる場合はなるべく他者との接触を控え、感染の拡大を防止してください。